fa-leanpub「蒼海館の殺人」読了
3月23日
「蒼海館の殺人」を読了した
総ページ数は630ページほどもあり、実質2冊分の大作である。
「紅蓮館の殺人」を先に読んだ方が良いという、先人の教えに従ったわけだが、確かにこれは「紅蓮館の殺人」を先に読んでおくべきだろうと思う。
本作のストーリーには2つの軸が存在していて、一つは殺人事件の解決、もう一つは探偵葛城の復活劇となる。この後者の物語を十分に理解するために前作である「紅蓮館の殺人」を読んでおく必要があるわけだ。
事件の解決は、自然災害による命の危機の中で行われる。このタイムリミットを伴う構成は前作「紅蓮館の殺人」のフォーマットに近しいといえる。今作は前作に比べて群像劇要素が色濃く、物語の核心もここに存在する。
この群像劇の描き方は、好き嫌いが分かれるだろう。確かに辻褄は合っているが、「後出しじゃんけん」ぽく感じてしまうのは私だけだろうか。これだけのボリュームで展開されるのであれば、道尾秀介著の「シャドウ」のような、心理と行動を多人数視点で展開してもらえるとフェアな感じがして私好みになる気がする。
私の主観においては、世間一般の評価に反して「紅蓮館の殺人」の方を高く評価している。葛城の他にもう一人探偵が現れるのだが、この探偵が最後の最後に読者の期待をそのまま実行してくれるシーンがあり、カタルシスを覚えるのだ。
その痛快な印象が「蒼海館の殺人」よりも強く残っている。