4月13日
駅から会社へ15分ほどの道を歩く。
季節はすでに初夏の佇まいだ。
どこからともなく、人を恫喝するような男の声が聞こえる。
しだいに声は大きくなり、やがて前方に声の主を捉えた。
男は中年で長髪、薄汚れたリュックを背負い前傾姿勢だ
速足で、その双眸はまっすぐに前を向き、瞬きの一回も行わない。
脳を悪魔に乗っ取られたように、
「クソがっ! 許さんっ! ゼッタイ許さんぞ! あのボケがっ!」
驚くほどスムーズにかつ苛烈に毒を吐き散らす
男が私の右側を通り過ぎる、そのすぐ後ろを電話工事の作業員がニヤニヤしながら続く。
・・・キチガイだったか・・・・
うん?
春!・・・そうか、春だったか・・・
季節外れの暑さのせいで気がつかなかった。