Memories
我が青春の「宝石箱」

忘れられないアイスクリーム「宝石箱」

 もう40年以上も昔になるだろうか、我々団塊ジュニア世代の記憶に深く刻まれているアイスクリームがある。

 「宝石箱」と命名されたそのアイスクリームは、それまでに見たことのない斬新な見栄えで私の子供心を魅了した。

 

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 小売店の店先に置かれた ”雪印アイスクリーム” と書かれた冷凍庫は小学生だった私の心を躍らせた。まだまだ一般家庭にクーラーが普及していなかった時代の中で、アイスクリームは涼を取る手段として格別の嗜好品だった。真夏の猛暑の中、汗まみれで遊んだ後に食べるアイスクリームの味は今でも鮮明に思い出す。

 

 当時のアイスクリームのラインアップは限定的だった。

 

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 ホームランバー(30円)、メロンシャーベット(50円)、ダブルソーダ(30円)、このあたりが冷凍庫の中のレギュラーメンバーで、日本のどの地域でも大差はなかっただろう。50円あればアイスが食べられる、そんな古き良き時代だった。

 

 そんな時代に突如として「宝石箱」が現れた。

 

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 パッケージの美しさ、入れ物の形、クリームの中に入っている氷、どれをとっても斬新で他のアイスクリームを圧倒していた。ビジュアルに圧倒されていたせいか、味については今一つ思い出せないが、とにかく、緑のメロン味を好んで食べていた記憶がある。私の地域ではなぜかストロベリーとメロンしか販売されていなかった。

 

 さらに、100円という価格設定が初めてだったと記憶している。「宝石箱」は高級品だったのだ。「宝石箱」を一つ買うと、「ダブルソーダ」が3つ買えてお釣りが来るという話を数えきれないほどした。「ダブルソーダ」は2つに割れるので100円あれば6人分になるという話もワンセットだった。

 

 さらにさらに、この「宝石箱」のテレビコマーシャルには当時人気絶頂の「ピンクレデー」が出演していた。

 

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 こんなん、売れるに決まってるやん。

 

 商品としての魅力が完璧で、価格設定も完璧で、セールスも完璧。当時の日本はそこまで商売についてシビアではなかったと記憶しているが、この「宝石箱」はまるで優秀なコンサルタントが入って開発したかのような戦略性が見て取れる。まさに「オーパーツ」と言っても過言ではない。

 

 この記事を書いていると、あの頃の夏の日差しやセミの鳴き声、川のせせらぎが想起される。当時遊んでいた友達はどうしているだろうか。

 

 パッケージを見ただけで、40年前のあの頃の世界に一瞬で引き戻されてしまう。そんな「宝石箱」がもし再販されたなら間違いなく買ってしまう。曖昧な記憶になってしまっている ”味” についても今一度確かめたい、そう思う。

 

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