名探偵に甘美なる死を / 方丈貴恵
この作品の前に発表された2作品を読んでからかなりの時間が空いたけれど、久々に読んでみるかと思い至った。
エラリークイーンの作品に代表される、読者への挑戦状が設けられているはず。。。
この挑戦状形式をやったりやらなかったりという作家がいるけど、このシリーズこれまですべての発表作で行っているので、読む前からなんとなく作品の輪郭が掴めるような気がして助かる。
あらすじ
「犯人役を演じてもらいたい」と、世界有数のゲーム会社・メガロドンソフトから依頼を受け、VRミステリゲームのイベント監修を請け負った加茂冬馬。
会場であるメガロドン荘に集ったのは『素人探偵』8名、その中には「幽世島(かくりよじま)」の事件に関わり現在はミステリ作家となった竜泉佑樹もいた……。
だが、穏やかな幕開けを迎えるはずだったイベントは一転、探偵と人質になったその家族や恋人の命を賭けた殺戮ゲームへと変貌を遂げる。
生き延びるには、VR空間と現実世界の両方で起きる殺人事件を解き明かすしかない──!
『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』に続く、 “館もの”本格ミステリ長編。
所感
方丈貴恵氏の作品を読むのは3作目で、出版順に読んでいることになる。
本作は前作を読んでいるか否かで随分印象が変わりそうだ。
ファンタジー要素の根幹が前作を引きずっているため、ある程度前作までの設定がわかっていないとトンデモ小説と判断されそう。
物語の設定は面白かったが、終盤の運命的な人間関係のつなげ方には少々突飛な印象があり、それを語るにはあと一作小説を挟むくらいのボリュームが必要だと思った。