
fa-leanpub「世界の美しさを思い知れ」」読了
4月23日
土曜日、朝から快晴なり
先日購入した、「世界の美しさを思い知れ」を読了した。
この著者の作品を読むのは初めてで、作品についての予備知識もほとんど無い状態で読み始めた。
こういう構成の小説を読んだ経験はなかった。その昔、”テレビ番組の制作に潤沢な資金が投入されていた頃の金をかけたドラマ” を観るような感覚を思い出した。
主人公は双子の兄弟の兄で、顔はうり二つ、弟は俳優、兄はサラリーマン。ある時、弟が自室で自殺してしまうが、理由は分からない。あまりにも顔が似ていたことから、兄の顔で弟のスマホの顔認証ロックを解除できてしまう。兄は自殺の理由を探して、生前の弟の足取りを追う形で各国へ旅立つ。
私が普段、ミステリー小説を読んでいることもあってか、序盤の状況設定はミステリー小説としては分かりやすく、当然その後いくつもの謎が出てきて展開していくと予想していたのだが、結果はまるで違っていた。
この物語はミステリー小説ではなかった。
弟を失ったことを受け入れ、自分の道を切り開いていく物語、成長譚という感じだろうか。自殺の理由が最後まで明確には明かされなかったことから、この作品のメッセージがどこにあるのか、という疑問の答えは非常に幅広くなってしまう。
それを読者に委ねているのだろうか。
少し考えてみただけでも、・自殺の動機は不明確で他者には汲み取れない場合が多い・美しいものに触れることで新し自分を見出せる・本当に大事な人間関係とはどういうものか・・・いろんなメッセージが読み取れそうだ。あえて、こういう終わり方をしていることは間違いないのだけど、作り手としては相当度胸が必要な構成だと思う。
私も開発職なので、こういう全体のイメージを大きく左右するポイントにチャレンジを仕掛けていくことは、己の野望だけでは実行できないということを身に染みている。ナイスチャレンジだと思う。
願わくば、このストーリーに加えて、自殺した弟視点の物語が存在するとより重厚で私好みになりそうだ。自殺直前の状態からの倒叙型でお願いしたい。私の頭がミステリーウイルスに侵されているのか、動機が放置されているのが落ち着かないのだ。
最後に、マルタ島とラパスはこの作品に出合ったことで行ってみたい国にノミネートされた。








