Memories
「大事なことほど小声でささやく」読了

「大事なことほど小声でささやく」読了

 

5月2日

今年のゴールデンウィークは、5/2 と 5/6 が出勤日になっていてゴールド感は皆無だ。

今日はその出勤日だった。電車の乗車率は平日との差をさほど感じなかったが、駅構内の人の流れは著しく少なかった。そんな風景に、「負け組のみなさん、おはようございます」と挨拶された気分だ。

 

今年に入ってから、森沢明夫氏の小説を読むのは早くも3冊目になった。「大事なことほど小声でささやく」を読了した。

森沢氏の小説は、ある ”お店” とそこに集う登場人物の群像劇という構成が多い。思い返してみると、「虹の岬の喫茶店」「キッチン風見鶏」は記憶に新しいし、「夏美のホタル」も少なからず要素はある。そして今回の「大事なことほど・・・」には「スナックひばり」が登場する。

 

どうやら、タイトルに ”お店” の名前が入っているときはファンタジー要素が強くて、そうでない場合は ”人情” にフォーカスされているのだろうと勝手な憶測を巡らせる。今回は ”ガッツリ人情もの” に振り切られていた。

 

さまざまな境遇の登場人物が合計6人、それぞれの短編になっている。6編全てが高い完成度の小説で、読み手の経験によって刺さるストーリーが異なりそうだ。人生経験が多い人ほど共感できるのではないだろうか。

 

過去作品を読んだ限りでは、著者である森沢氏は、情景描写がずば抜けて上手いと思っていたが、この作品を読むと心情描写もすばらしいことが分かる。登場人物の心情をセリフに頼るのではなく、その佇まいや、環境描写で十分に読者へ伝えてくるところは、私には無い異次元の才能を感じる。

私が何年頑張ってもこの領域には達せない、そんな悲しい確信を得た。

 

これほどの才能を持っていれば、会社員の道に進んでいても随分出世できるだろうと思う。会社員を選択する理由は皆無ではあるが。

このところ、比較的平和な物語を読んできたのでそろそろ次はミステリー系に着手したいと思う。

 

 

 

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