
いけないⅡ 道尾秀介著
「いけないⅡ」を読了した。
本作は前作の「いけない」の続編にあたる。
続編といっても話の内容がリンクしているわけではなく、特徴のある構成が踏襲されているという意味合いが強い。著者である道尾秀介氏の作品で表題がナンバリングされるのは初めてのことだ。過去作の「かえるの小指」は実質「カラスの親指Ⅱ」にあたるが、そうされていない点からも、初めてナンバリングされた「いけないⅡ」に特別感を感じる。単に、「いけないⅡ」の読者を前作の「いけない」に誘導しやすくする点に重きを置いたのかもしれないが。
「いけない」シリーズの構成は他の小説にはない唯一無二の特徴がある。
連続短編という形式をとっており、各編の最後には写真が1枚載せられている。各編を読み終わった後にその写真を見ると、それまで頭の中で構築していた景色と違っていたり、新たな発見があったりする。これにより自分の予想の修正を余儀なくされる。
各編同士も少なからず連動している部分あるが、最終話では更に連動性が増してくる。各編の最後に提示される写真の意味を取り違えていたり、理解半ばで読み進んでくると最終話で辻褄が合わなくなってくる。
ここが他の小説と大きく差別化されるポイントとなる。
所感
前作である「いけない」に比べ、謎の難易度は低いと感じた。その分、ストーリーの筋書きが色濃くて分かりやすく感じた。
物語に漂う雰囲気はさすが道尾秀介氏といったところ。「シャドウ」に代表される、淡々とした情景描写から重厚感と閉塞感が伝わってくる感じは道尾氏の真骨頂なのかもしれない。謎の条件提示もフェアでありながら物語性を失わない。
また、道尾氏は誰もやっていない挑戦を続けていて、常に小説の可能性を広げている。前例がないことで実績を上げることの難しさは、クリエイター職のはしくれに身を置く私も常々痛感している。特に企画職に身を置く人はこの小説(挑戦)から学ぶ点が多いと思う。
本作について
- 明神の滝に祈ってはいけない
・冥神が住むという滝に祈ると命と引き換えに願いが叶うという言い伝えが・・・ - 首なし男を助けてはいけない
・少年が提案した「肝試し」に端を発する物語 - その映像を調べてはいけない
・自首した犯人宅にあったドライブレコーダーが導く意外な物語 - 祈りの声を繋いではいけない
・祈りのリンクは断ち切れたのか・・・
物語のドライブ感と雰囲気に圧倒されて、内容も理解半ばで読み進めるところがあった。各編の最後にある写真が発するメッセージが予想通りである場合はふむふむと納得できるが、理解できなかった場合(何も感じなかった)には、最終章でしっぺ返しを食らう事になる。
辻褄が合わなくなってしまうのだ。特に「明神の滝に祈ってはいけない」の写真から何も読み取れていないと最後には「どんでん返し」小説を読んだような感覚を覚える。この謎だけ難易度が高い気がしているが、このあたりの調整具合もさすがだと言わざるを得ない。才能に嫉妬する気にもなりませぬ。
最後のシーンはメインディッシュが並んだ状態で、味わうことなく終わるタイプだった。ここを書かずに筆を置くところに、著者の才能と美学を感じる。







