
希望の糸 東野圭吾著
「希望の糸」を読了した。
圧倒的な安定感を誇る東野圭吾著の作品。
最近文庫化されたことで、書店でも強く推されていたところに通りかかり購入に至った。
本作は東野圭吾作品の中でも「加賀恭一郎シリーズ」にカテゴライズされている。この「加賀恭一郎シリーズ」を書籍で読むのは初めてとなった。ドラマでは何話か見た記憶があり、どのくらいの印象の違いがあるのか興味があった。
所感
読後のインパクトは控えめな印象で、最近読んだ小説の中でもおとなしい印象を受けた。
これまで映像作品でしか触れてきてこなかったこともあり、「加賀恭一郎」が出てくると「阿部寛」の顔が頭に浮かんで意識を占領されてしまう。
あらすじ
震災によって二人の我が子を失った家族の話、老舗旅館を営む女将の家族の話、喫茶店を経営している女性にまつわる話、三つの家族が絡みあいながら徐々に真実が明かされていく。
感想
だれからも悪く言われることのない喫茶店の店主が刺殺された。殺される理由がない被害者の捜査は当たり前のように難航し、一線に浮かんだ参考人には皆アリバイが存在した。
犯人ではないと分かっている参考人たちの僅かな機微から、明かされない情報を粘り強く探究していく。徐々に参考人たちの背景が浮かび上がってくる。
この物語は、登場人物たち各々が育った環境、善意や誠意の線引きの違いが生んだ悲しい事件というのが主題なのだろうと思った。
話さない正義、誠意は実社会には多分に存在している。共感できるか否かは読者側の人生経験にも大きく依存しそうだ。
事実私は他人事のようにしか読めなかったわけだが、女性であったり、不妊治療をしていたり、子供を失っていたりしている場合には深く共感できる物語なのかもしれない。
これまでの映像作品を思い返すと、必ずといってよいほど登場人物の不憫な境遇が描かれる事から、今後「加賀恭一郎シリーズ」は映像作品で楽しもうと思う。文字情報からのみでは私の想像力が足りていないと思うからだ。







