Memories
「スイッチ」読了

スイッチ 潮谷験著

 

 「スイッチ」を読了した。

 

 副題に「悪意の実験」と謳われたこの作品は、人間の心理の昏い部分に迫る内容となっている。

 

 

 私立狼谷大学に通る箱川小雪は友人たちとアルバイトに参加した。

 一ケ月間、何もしなくても百万円。ただし、押せば幸せな家族が破滅するスイッチを持って暮らすこと。

 誰も押さないはずだった。だが、小雪は思い知らされる。想像を超えた純粋な悪の存在を。

 

 

感想

 

 この小説は以前から最寄りの書店で見かけていて、メフィスト賞を受賞していたことからも気になっていた。

 

 よくあるミステリー小説だと、あたりまえのように連続殺人がおこるわけだが、この作品の死亡者は一人のみだ。そんなところに新鮮さを感じるようになった私は少々読む作品が偏っているのかもしれない。

 

 主人公が意思決定に利用している、脳内コイントスは物語中のフィクションであることは分かっていても、実際に有効な方法ではないかと思わされるほどに説得力がある。実際に実行していないと分からないような心理描写がされていて、強いリアリティが感じられた。

 

 多様な生い立ちによってさらに多様な思想が生まれ、個性が形成される。個性がユニークな行動に繋がる様がリアルに表現されていて、その内容に納得できたりできなかったりと読んでいて興味が尽きない。

 この物語中の「悪意の実験」自体は実在しないのかもしれないけれど、同じように間接的に人を殺してしまうことは意外と身近なところで起こっているのではないかと考えさせられる。

 

 

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