
楽園のカンヴァス 原田マハ著
原田氏の作品を読むのは3冊目になる。
もはや私の中では「間違いない著者」という認識になっている。
過去に読んだ「本日はお日柄もよく」「翼をください」は共にまったく異なるジャンルでありながら、文章に引き込む力が強烈だった。原田氏のように比較的平和なストーリーを書く著者は多くいるけれど、原田氏ほど読後にストーリーの内容が記憶に残る著者はいない。
私の場合、通勤中にスマホで読むことで読書進捗は小刻みになりがちで、そんな環境においても記憶に残りやすい原田氏の文章というのはありがたかった。
今回の「楽園のカンバス」の主題は「絵画」だ。
私は「絵画」の良さを理解できていないし、興味も皆無だ。
そんな私であっても、読み始めるとすぐに物語へ引き込まれてしまうほどに構成や文章が優れている。登場人物のもつ感情表現にリアリティがあることが理由なのかと思ったが、そのような著者はいくらでもいるわけで・・・
どうすればこのような文章が書けるのかまったく理解できない。得難い資質なのだろう。
あらすじ
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。
そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。
リミットは7日間。
所感
私のように「絵画」にまったく興味のない者にも読み切らせてしまう魅力がある。
作中に語られる出来事自体はシンプルで量も少ないけれど、登場人物のバックボーンが語られることで一気に重厚感が増している。比率は1:9くらいなのではないだろうか。
登場人物がとるであろう選択肢を読み手に予想させるポイントや、読み手のイメージを超える表現の提示等々は一般的なミステリー小説には無い構成だと思う。
私が読書をする一つの理由に少しでもまとまな言語引用能力を得ようとするものがある。ただし、原田氏の小説を読むと構成も同じくらい重要なのだと思い知らされる。







