
体育館の殺人 青崎有吾著
2015年に初版が刊行された「体育館の殺人」は長期にわたって人気を持続している。私の手元にあるのは第17版だそうだ。
表紙デザインからはお世辞にも面白さが伝わって来るとはいえない。高い評価を得ていることは知っていたが不安を感じていたのも確かだ。
第22回鮎川哲也賞受賞作品この肩書に賭けることにした。
これまでに私が目にした鮎川哲也賞受賞作品は打率100パーセントだからだ。
あらすじ
嵐ヶ丘高校の旧体育館で、放課後、放送部の少年が刺殺された。
密室状態の体育館にいた唯一の人物、女子卓球部部長の犯行だと警察は決めてかかる。
卓球部員・柚乃は、部長を救うために、学内一の天才と呼ばれている裏染天馬に真相の解明を頼んだ。
アニメオタクの駄目人間に---。
所感
登場人物が多めのミステリー小説だったが、キャラクタがうまく描かれていて混乱することなく寧ろわかりやすい。
謎の解明はロジックの積み重ねに偏重していて、普段からロジカルな思考をしている読み手なら本書が投げかけてくる謎の大半は予想通りに着地していくだろうと思う。
少々、ヒントを与えすぎているのではないかと思う所もあったが、これくらいライト感覚で読み進められる方が読後感が爽やかに感じるのかもしれない。
読後感は ”アタリのドラマ” をワンシーズン一気見したような、そんな感覚が近い気がする。
相変わらず、鮎川哲也賞作品はハズさない。
今回も、鮎川哲也賞選考委員の解説が巻末に寄稿されていた。いつも思うのだが、ここに寄稿されている文章がスゴイのだ。
寄稿した辻真先氏は、鮎川哲也賞とは、「3年たっても5年たっても再読に堪える堅牢さと狡猾さ」を持ち合わせているとしている。
そういわれてみれば、「ジェリーフィッシュは凍らない」「時空旅行者の砂時計」も時間が経っても面白い作品だろうと容易に想像できる。







