
正欲 浅井リョウ著
昨年2022年の本屋大賞にノミネートされ、その内容に物議を醸した小説だ。
「多様性」の在り方について一石を投じる内容でYoutubeをはじめとしたSNSでレビューが沸いていた。
著者の浅井リョウ氏の名前も最近よく聞くようになり、直近ではクリスマスストーリーズに寄稿されていた短編「逆算」を読んだ記憶は新しい。
畳みかけるような文体が印象的だった。
あらすじ
啓喜は登校拒否児童を子に持つ検事で、夏月は地元のモールにある寝具店で働き、八重子は学園祭の実行委員を務める大学生だ。
彼らは一見何の関わりもない人物に見える。
でも、啓喜の息子である泰希が、同じように登校拒否児童である友人とYouTubeで動画配信を始めるところから、細く、不穏な糸で繋がり始める。
所感
YoutubeをはじめとしたSNSで所感が様々に語られている。どうやら私とは反対側の感想を持つ人が多いらしい。
幼少の頃から言葉を発する事へのリスクを身に染みて感じていたせいか、それをトラウマのように持ったままオッサンなってしまった自分にとっては、この小説を読んで「よく言ってくれた」「うまく表現するものだな」と終始にわたって感心させられた。
この小説を読んで考えさせられたとか虚無感に駆られたという感想を語る者たちは所謂「意識高い系」の人なのだろう。これまで自分たちがどのように見られてきていたのか、いかに周りに甘んじて受け入れてもらっていたのかを強いリアリティで刷り込んでくるからだ。
自分にもこのような説得力のある表現能力があれば・・・と思わざるをえない。
雑な感想になってしまうが、痛快だった。
「人間は自分に都合の良い事しか発信しない」この当たり前の事を念頭に置くだけで傷つく確率を圧倒的に下げられるのに何故世の中にはそれほどに壊れる人が多いのかは不思議だ。
極端に言うと「人に無関心であれ」というだけの事。
今後必須のスキルなのだと改めて思い出させてくれた良作だと思う。







