
出版禁止 長江俊和著
2014年に『新潮社』から発表された作品。
著者の長江俊和氏は日本テレビのディレクターであり、過去のキャリアではドラマ演出、脚本、映画監督と幅広い。
同氏が手掛けたテレビ番組『放送禁止』は深夜枠でありながら一部の層で強い支持を受けた。
テレビという強い制約の中でかつホラー分野において高い支持を獲得したということは、より自由度が高い小説のフィールドであればさらに面白いものを提供してもらえるのではないかと思った。
あらすじ
著者・長江俊和が手にしたのは、いわくつきの原稿だった。
題名は「カミュの刺客」、執筆者はライターの若橋呉成。内容は、有名なドキュメンタリー作家と心中し、生き残った新藤七緒への独占インタビューだった。
死の匂いが立ちこめる山荘、心中のすべてを記録したビデオ。不倫の果ての悲劇なのか。なぜ女だけが生還したのか。
所感
作品の構成がこれまでに見たことがないもので新鮮。
ドキュメンタリーを見ているような感覚で読み進める事ができ、読了まで一気読みも可能だろう。
「答え」を常に読者の目の前に晒しているという挑戦的な構成でありながらも登場人物の行動や言動が妙にリアルなところも私好みだ。
ミステリー小説では「爆弾」「方舟」に並ぶ面白さだった。
実はこの作品は間違って購入したものだった。「出版禁止」がシリーズ化されていたことを知らなかったのだ。本当は同じ「出版禁止」でも副題が「いやしの村滞在記」の方を買うつもりだった。幸いにも読了後に自分の間違いに気づいたため、また次の楽しみが増えた感じである。本作も十分に面白かった。







