ゴールデンスランバー / 伊坂幸太郎
伊坂幸太郎氏の作品は私にとって当りハズレが激しい。
「マリアビートル」はとても面白く読めたが、「アヒルと鴨のコインロッカー」は何が面白いのかさっぱり分からなかった。
「ゴールデンスランバー」は2010年に刊行された作品。あらすじとamazonの評価を見て、おそらく自分に合う方なのだと思い購入した。
あらすじ
衆人環視の中、首相が爆殺された。
そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない――。
首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。
スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。
所感
伊坂氏の小説の中では「マリアビートル」に並ぶ面白さだった。
全てが完全解決するハッピーエンドの物語ではないが、これはこれでアリなんだと思わされる。
終始追われ続ける主人公の緊迫感がリアルに伝わってくる、停滞するところがないテンポの良い作品だった。
メディアに踊らされる大勢の民衆や、本当に存在するのではないかと思う特殊部隊のような組織の描写にリアリティを感じた。
伊坂氏の小説は国が仕掛けているコントロールとそこに存在する矛盾をさりげなく風刺しているものがあり、それが痛快だったりする。
現在「777」が発表されたばかりだが、評価が高そうだったら手に取ってみたいと思う。