Memories
「翼をください(下)」読了

翼をください(下)

 通勤中に読み進めていた、「翼をください(下)」を読了した。

 

 今月上旬に、同作の上巻を読了したので、完読となった。

 

半分フィクション、半分ノンフィクションでありながら驚くほど惹きつけられる。なぜこのようなことが可能なのか理解に苦しむ。。。

「翼をください(上)」読了

 

 原田マハ氏の作品に触れるのはこのシリーズを含めて2作品目となった。前回拝読した、「本日はお日柄もよく」も非常に惹きつけられる内容で、映像化されたものより遥かに強い印象を刻み込まれた。

 

主人公は幼なじみの結婚式で伝説のスピーチラーターと出会い、触発され自らスピーチライターの道を目指すという仕事小説。最終的には野党のスピーチライターに抜擢され活躍するまでになる。

「本日は、お日柄もよく」読了

 

 この著者の文体は極めて平易で読みやすいのだけど、加えて読者を惹きつける引力が凄まじい。本作においても、あらすじだけを追っていくと日記や報告書に近しい無機質なものになりがちだが、原田氏が表現すると登場人物の感情が異常なほど豊かに伝わってくる。

 

 人の感情を質量を損わずに伝えるスキルが異常に高いのだろう。しかも短い文体で。

 

 正直なろころ、本作のテーマはそこまで興味があるものではなかったのだが、一切の中だるみがなく読み切ることができた。私の中では安心して購入できる作家の一人となった。次回は代表作である「楽園のカンバス」を読んでみたいと思う。

 

所感

 作品としては面白いの一言に尽きる。

 

 物語の終盤では「どのパターンに着地するのだろう」という興味がストーリーの進捗と同じくらい頭の中を占有してくる。読み進めていく温度感から「なんとなくハッピーエンドで終わるんだろう」との予想はできるものの、はたして・・・といった感じだった。

 

 「本日はお日柄もよく」でもそうであったように、贅肉どころか筋肉の一部までもが削ぎ落されている印象で、物語に強い密度を感じる。上巻に登場した、アインシュタインやヒデキ・ユカワのくだりは下巻でも少し触れるのではないかと思ていたが、まったく出てこず、さらには、主人公の旧同僚との絡みも果たされずエンディングを迎えた。

 

 物語をベタに「みんな幸せ」で終わらせることは簡単なのだろうけど、そうしないところにリアリティと美学を感じてしまう。

 

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